夫の浮気を疑い、震える手で探偵社に電話をした、あの日のこと。
冷静な判断なんて、できるはずがありませんでした。
「すぐに調査しないと、証拠が消えてしまいますよ」
「料金は後からでも大丈夫ですから」
そう言われるがままに契約し、数十万円を失った挙句、手元に残ったのは何の役にも立たない数枚の写真だけ。
こんにちは、みさきです。
このブログの最初の記事でもお話しした通り、これは、情報不足と精神的な動揺から、悪徳な探偵社に騙されてしまった、私のリアルな失敗談です。
あなたには、絶対に、私と同じ思いをしてほしくない。
その一心で、この記事を書いています。
実は、私と同じような被害は後を絶たず、消費者庁や国民生活センターも、悪質な探偵業者について強い警告を出しています。
今回は、そうした公的機関の情報と私の痛い経験から学んだ、契約してはいけない「悪徳探偵の9つの危険なサイン」を、チェックリスト形式でお伝えします。専門家の視点も加えて内容を強化しましたので、ぜひご活用ください。
どうか、この記事を「お守り」だと思って、探偵社に相談の電話をかける前に、一度だけでも目を通してください。
契約前に必ず確認!悪徳探偵の危険なサイン9選
サイン1:「絶対に解決できます」「必ず取り返せます」と断言する
これは、私が騙されたときと全く同じ手口です。
藁にもすがりたいこちらの気持ちを知っていて、「解決」「復縁」「返金」といった、甘い言葉で契約を迫ってきます。
ですが、思い出してください。
探偵業法という法律で、探偵に許されている業務は「調査」と「報告」だけです。彼らがあなたの代理人として相手と交渉したり、慰謝料を取り返したりすることは、弁護士法で禁じられた「非弁行為」という犯罪にあたる可能性があります。
「解決できます」と断言する業者は、誠実でないか、法律を知らないかのどちらかです。
サイン2:「早くしないと大変なことに」と、言葉巧みに不安を煽る
「早くしないと、ご主人にバレてしまいますよ」
「相手から慰謝料を請求されたら、大変なことになります」
このように、こちらの不安や恐怖を極限まで煽り、冷静な判断力を奪って契約を急がせるのは、悪徳業者の常套手段です。消費者庁も、このような手口に注意を促しています。
本当にあなたのことを考えてくれる探偵は、まずあなたを落ち着かせ、状況を整理することから始めてくれます。「早くしないと」と急かすのは、あなたの足元を見ている、何よりの証拠です。
サイン3:契約書や料金体系の説明が異常に複雑で分かりにくい
「基本料金が〇〇円で、調査員1名1時間あたり〇〇円、それに車両費と機材費が…」
「このパックならお得ですが、もし延長になった場合は追加で…」
私が最初に契約した探偵社も、まさにこれでした。
わざと料金体系を複雑にして、こちらの思考を停止させ、「まあ、プロが言うんだから、こんなものなのかな」と思わせるのが目的なのです。
優良な探偵社ほど、料金体系はシンプルで明瞭です。特に注意したいのが、以下の3つの料金プランです。
- 時間料金型: 調査員1名1時間あたりの料金が決まっているプラン。短時間の調査には向いていますが、長引くと高額になるリスクがあります。
- パック料金型: 「20時間〇〇万円」のように、一定時間をまとめて契約するプラン。時間単価は割安になることが多いですが、必要な調査時間を見誤ると無駄が出たり、追加料金が発生したりします。
- 成功報酬型: 最も注意が必要なプランです。「成功したら料金が発生」と聞くとお得に感じますが、悪質な業者は契約書の中で「成功」の定義を「相手の勤務先を特定した時点」など、ごく簡単な内容に設定していることがあります。契約前には「何をもって成功とするのか」を具体的に確認し、書面に残すことが不可欠です。
「この見積もりには、交通費や報告書作成費など、最終的に支払う可能性のある全ての費用が含まれていますか?」という質問に、即答で、かつ分かりやすく答えられない業者は、絶対に信用してはいけません。
サイン4:「高額なキャンセル料」を盾に、その場での契約を迫る
「今日契約してくれたら、この料金でやります」
「一度契約したら、キャンセルには料金の50%がかかりますからね」
考える時間を与えず、その場で契約させようとするのも、非常に危険なサインです。
特に、高額な違約金をちらつかせて退路を断とうとするのは、商品に自信がなく、あなたを「カモ」としてしか見ていない証拠と言えます。消費者契約法では、事業者に生じる平均的な損害を超えるキャンセル料は無効とされています。
信頼できる探偵社は、あなたが一度家に持ち帰って、冷静に考える時間を与えてくれます。
サイン5:公的機関と紛らしい名称を名乗る
「消費者〇〇センター」「〇〇相談窓口」など、まるで自治体の相談窓口かのような、公的な機関を装う悪質な業者が存在すると、国民生活センターも警告しています。
私たちは、混乱していると「センター」や「相談窓口」という言葉だけで、無条件に信頼してしまいがちです。
必ず、その団体の正式名称と、公安委員会への届出が出されている、正規の探偵社かどうかを確認してください。
サイン6:良い口コミばかりが、不自然に並んでいる
私が血眼になって探偵社を調べた時、一番惑わされたのが、この「口コミ」でした。
今なら分かります。絶賛する言葉ばかりが並んでいたり、具体的な調査内容に全く触れていなかったりする口コミは、サクラ(ステルスマーケティング)である可能性が非常に高いです。
2023年10月からは、広告であることを隠して宣伝するステルスマーケティングは、景品表示法という法律で明確に禁止されています。
本当に信頼できる口コミは、
「こういう状況で、こんな調査をしてもらって助かった」という具体性があったり、
「料金は安くなかったけど、結果には満足している」といった、メリットとデメリットの両面に触れていたりするものです。
サイン7:「標識」を事務所やウェブサイトに掲示していない(事務所での面談を避ける)
これは法律(探偵業法)で定められた、探偵社の義務です。
探偵業を営むには、必ず管轄の公安委員会に届出を行い、法律で定められた様式の「標識」を営業所の見やすい場所と自社のウェブサイト上に掲示しなければなりません。
2024年4月1日の法改正により、従来の「探偵業届出証明書」は廃止され、この「標識」の掲示が義務化されました。
面談に行った際にこれが見当たらない、あるいはウェブサイトで確認できない業者は、言うまでもなく論外です。さらに注意すべきは、事務所での面談を避け、喫茶店やファミリーレストランで会おうとする業者です。これは、標識を掲示していない、あるいはそもそも正規の事務所が存在しないことを隠すための手口かもしれません。
サイン8:調査報告書のサンプルを見せてくれない
探偵に支払う料金は、最終的に受け取る「調査報告書」に対する対価です。この報告書の質が低ければ、裁判で証拠として使えず、全くの無駄金になってしまいます。
契約前に、必ず個人情報を黒塗りにした調査報告書のサンプルを見せてもらいましょう。その際、以下の点を確認してください。
- 客観性: 調査員の憶測ではなく、事実に基づいた記述か。
- 詳細性: 対象者の行動が、分単位で時系列に記録されているか。
- 証拠能力: 写真に日時が写し込まれているか。裁判で使えるレベルの鮮明さか。
サンプルの提示を拒んだり、内容が稚拙だったりする業者は、調査能力が低い可能性が高いです。
サイン9:過去に行政処分を受けている
探偵業法に違反した業者は、公安委員会から「営業停止命令」などの行政処分を受けることがあります。これは、その業者が過去に重大な問題を起こしたという動かぬ証拠です。
この行政処分の情報は、各都道府県警察のウェブサイトで公表されています。契約を考えている探偵社の名前を見つけたら、必ず「(都道府県名)警察 探偵業 行政処分」で検索し、過去に処分歴がないかを確認する習慣をつけましょう。
まとめ:あなたの心と資産を守れるのは、「知識」だけです
もう一度、9つのサインを振り返ってみましょう。
- 「絶対に解決できる」と断言する
- 「早くしないと大変なことに」と不安を煽る
- 料金体系が異常に複雑
- 高額なキャンセル料を盾に即決を迫る
- 公的機関と紛らわしい名前を名乗る
- 良い口コミばかりが不自然に並んでいる
- 「標識」を掲示せず、事務所での面談を避ける
- 調査報告書のサンプルを見せてくれない
- 過去に行政処分を受けている
あの時の私に、このうちの、たった一つでも知識があれば。
そうすれば、あんな悔しい思いをすることも、大切なお金を失うこともなかったはずです。
どうか、焦らないでください。
電話をかける前に、この9つのリストを、もう一度だけ、見返してください。
あなたの心と資産を守れるのは、最後はあなた自身の「知識」だけなのです。
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