あなたの心を、夜ごと苛む、顔の見えない誰か。
夫とのLINEで、親しげに笑いかける、名前しか知らない誰か。
「一体、どんな女なの…」
「どこに住んで、何をしているの…?」
その正体を知りたい、突き止めたい、という気持ち。
それは、決して異常なことではありません。自分の人生をめちゃくちゃにした相手の顔が見たいと思うのは、当然の感情です。
私も、そうでしたから。
こんにちは、みさきです。
その、マグマのように熱い「知りたい」という気持ちは、時に、あなたに真実へと向かう力を与えてくれます。
ですが、一歩間違えれば、その熱は、あなた自身の未来を焼き尽くす炎にもなりかねません。
この記事では、あなたが「加害者」という、最も悲しい立場に堕ちてしまわないように。
自分で浮気相手の身元を調べる際の、「ごく僅かな安全な方法」と、絶対に越えてはいけない「法律の壁」について、法的な観点から私の経験の全てを込めて、お話しします。
【始める前に】あなたの本当の目的はなんですか?
まず、一番大切な質問をさせてください。
あなたが、浮気相手の身元を知りたい「本当の目的」は何でしょうか?
もし、それが、相手に怒りをぶつけ、社会的・精神的にダメージを与える「復讐」であるならば、一度、立ち止まってください。その道は、あなた自身をも破滅に導く、あまりにも危険な道です。
もし、それが、将来の慰謝料請求などのために、法的な責任を問う相手を「特定」することであるならば、これからお話しすることは、あなたの役に立つはずです。
【要注意】合法の範囲はごくわずか。自分でできる「手がかり」集め
ここでお話しするのは、あくまで「この人かもしれない」という仮説を立てるための、合法的な手がかり集めです。これだけで相手を断定することはできず、法的な証拠としての価値も限定的です。
- 夫のSNSの交友関係を(公開範囲で)確認する
最もリスクが低いように見えますが、注意が必要です。- チェックポイント: 最近、急に「いいね!」やコメントのやり取りが頻繁になった、特定の異性がいないか?夫が「出張」と言っていた日時に、同じ場所にいたような投稿をしている異性がいないか?
- 法的注意点: 誰でも見られる投稿を閲覧する行為自体は問題ありません。しかし、相手のIDとパスワードを推測・入力して非公開のアカウントにログインする行為は、明確な犯罪(不正アクセス禁止法違反)です。
- クレジットカードの明細やレシートから名前や場所を推測する
この行為は、法的に非常に危険な領域に踏み込む可能性があります。- チェックポイント: 夫が二人で行ったと思われるレストランの店名を、彼のSNSのフォロワーの中から検索してみる。レシートに担当者名(女性の名前)が書かれていて、それがお店のアカウントなどで特定できる人物ではないか?
- 法的注意点: 夫のIDとパスワードを使ってオンラインの明細サイトにログインする行為は「不正アクセス禁止法」違反という犯罪になります。また、レシートを探すために夫の財布や鞄を無断で探る行為は、民事上の「プライバシー侵害」にあたる可能性があります。
【絶対厳守】被害者から「犯罪者」に転落する、4つの法的境界線
ここからが、この記事で最も重要な部分です。
「相手を突き止めたい」という一心で、以下の境界線を越えてしまえば、今度はあなたが「加害者」として、法的に断罪される番になってしまいます。
壁その1:尾行・張り込み・つきまとい
「相手のSNSから職場が分かったから、待ち伏せしてみよう」
これは、極めて危険な行為です。ストーカー規制法や軽犯罪法は「恋愛感情」が動機の場合に適用されることが多いですが、不貞調査が「怨恨」と解釈され、適用されるリスクがあります。探偵が合法的に尾行できるのは、「探偵業法」という法律に基づき、業務として調査を行っているためであり、一般市民にはこの特権は一切ありません。
壁その2:SNSやメールへの不正アクセス
「相手のSNSアカウントを見つけた。パスワードを推測して、DMを見てみよう」
これは、議論の余地なく「不正アクセス禁止法」に違反する犯罪行為です。法律上、配偶者であっても「他人」と見なされ、例外は一切ありません。実際に配偶者が逮捕された事例も存在します。
壁その3:個人情報を「買う」、または違法に取得する
インターネット上には、「別れさせ屋」や、個人情報を違法に売買する業者が存在します。「お金を払って、相手の住所や勤務先を調べてもらおう」。その行為は、あなた自身が犯罪の依頼者、あるいは共犯者になるということです。
壁その4:差別につながる調査を行うこと
これは、法律以前の、人としての倫理の問題です。相手の出身地や家柄、国籍などを調べる「差別調査」は、探偵業法第9条でも固く禁じられている、最も卑劣な行為の一つです。
まとめ:あなたが本当にすべきは「特定」ではなく「法的に有効な証拠保全」
もし、あなたが合法的な範囲で集めた手がかりから、浮気相手が「この人かもしれない」と強く推測できたとしても。
残念ながら、その推測は、慰謝料請求の場では、まだ何の力も持ちません。
あなたの未来を守るために本当に必要なのは、「誰が相手か」という情報だけではなく、「夫とその相手が、いつ、どこで、何をしたか(=肉体関係を持ったか)」という、客観的な「証拠」なのです。
そして、違法な手段で集めた証拠(例:不正アクセスで得たメール)は、「違法収集証拠」として裁判で採用されない可能性すらあります。
この、合法的かつ安全に、そして法的に有効な証拠を確保する作業は、残念ながら、素人である私たちには、あまりにも困難で、リスクが高すぎます。
どうか、激情に駆られて、危険な一線を越えないでください。
あなたが集めた「手がかり」は、決して無駄ではありません。それを持って、法律の専門家である弁護士や、調査のプロである探偵に相談すること。
それこそが、あなた自身が「加害者」にならずに、真実へとたどり着く、唯一の安全な道なのです。
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