「これは、会社のお金だから、君には関係ない」
夫の浮気を問い詰めた時、あなたは、そんな冷たい言葉で、突き放されてしまったかもしれませんね。
会社の立派なオフィス、高級な社用車、頻繁な「接待」ゴルフ…。
その全てが、夫と、そしてあの女のために使われているような気がしてならないのに、「会社の資産」という分厚い壁の前に、あなたは、ただ無力感に苛まれているのではないでしょうか。
その気持ち、痛いほど分かります。
こんにちは、みさきです。
かつての私を騙した探偵は、ただ夫の行動を追いかけるだけでした。
もし、あの時の夫が「経営者」であったなら…?
私は、きっと、もっと多くのものを見過ごし、本来得られるはずだった権利さえも、知らぬ間に奪われていたことでしょう。
この記事は、そんな、かつての私のような、「会社の壁」の前に立ちすくむ、あなたのためだけの、特別な戦略書です。
法律の専門家の知見を借りて、その分厚い壁の正体を正確に理解し、あなたが正当に得るべき権利を守り抜くための、具体的な知識と方法をお伝えします。
結論:財産分与の本当のターゲットは「会社の株式」。そして、会社の資産も対象になり得る
いきなり、あなたに希望を与える、最も重要な結論からお伝えします。
経営者の夫との財産分与で、あなたがまず狙うべき本当のターゲットは、夫が持つ「会社の株式(自社株)」です。
そして、たとえ会社の「法人名義」になっていたとしても、その資産が実質的に夫婦の協力によって築かれたものであり、会社と個人の財産が混同している(公私混同)と認められれば、会社名義の資産も財産分与の対象となり得ます。
「会社と個人は別人格」というのが、法律の大原則です。そのため、原則として会社名義の資産は直接の財産分与の対象にはなりません。
しかし、夫が一人、あるいは親族だけで経営しているような同族会社の場合、その境界線は非常に曖昧になりがちです。裁判所も形式ではなく実態を重視し、「これは実質的には個人の資産と同じだ」と判断してくれるケースが存在するのです。
なぜ、経営者の浮気調査は「特別」なのか?
では、なぜ、経営者の夫の調査は、一般的なサラリーマンの夫の調査と、根本的に違うのでしょうか。
それは、彼らが、「経費」という、魔法の杖を持っているからです。
- 浮気相手とのデート代が、「接待交際費」に化ける
- 浮気相手へのプレゼントが、「消耗品費」に化ける
- 浮気旅行が、「海外出張」に化ける
これらは、決して、ドラマの中だけの話ではありません。
しかし、この「公私混同」こそが、経営者の不正の正体であると同時に、あなたの反撃の糸口になります。
会社の経費を不貞行為に使うことは、法的には以下の意味を持ちます。
- 慰謝料の増額事由になる: 会社の資金を私的に流用して浮気をすることは、行為の悪質性が高いと判断され、あなたが請求できる慰謝料の増額につながる可能性があります。
- 「公私混同」の強力な証拠になる: 会社のお金を個人の財布のように使っている証拠は、「会社と個人は一体」だと裁判所に認めさせ、会社の資産を財産分与の対象に含めるための重要な証拠となり得ます。
財産分与の対象となり得る資産の正しい見方
では、具体的に、どのような資産を、どのように評価すればよいのでしょうか。法的に正確な視点で、見ていきましょう。
資産の種類 | 法的な考え方とアプローチ |
---|---|
夫が持つ自社株 | 【最重要】これが財産分与の基本かつ中心です。 婚姻中に設立・取得した株式や、婚姻後に価値が上がった株式は「共有財産」と見なされます。会社の純資産(資産から負債を引いた額)を基に株価を評価し、その価値を分与します。 |
会社の預貯金 | 原則、直接の分与対象外。 ただし、会社の資産として「自社株」の価値評価に反映されます。不当に役員報酬を低くして会社の預金を増やしている場合、財産隠しと見なされる可能性もあります。 |
役員貸付金 | 夫の個人資産として、直接の財産分与の対象になります。 これは夫が会社に貸しているお金(会社から見れば借金)であり、夫個人の「債権」という財産だからです。使途不明な場合は、浮気費用の証拠にもなり得ます。 |
法人名義の不動産・車・美術品 | 原則、直接の分与対象外。 しかし、浮気相手を住まわせる、完全に私用で高級車を乗り回すなど、事業と無関係な私的利用が証明できれば、「公私混同」の強力な証拠となり、例外的に財産分与の対象と認められる可能性があります。 |
法人契約の生命保険 | ケースバイケース。 契約者や受取人が誰か、保険料を実質的に誰が支払っていたか(会社の経費か、家計か)によって判断が分かれます。実質的に個人資産と見なされれば、解約返戻金が財産分与の対象となることがあります。 |
あなたの権利を守るための、唯一かつ最強の戦略
これら複雑に隠された資産を、あなた一人で見つけ出し、法的に証明するのは、残念ながら不可能です。
答えは、一つしかありません。
浮気の証拠を押さえる「探偵」と、資産の証拠を押さえる「弁護士」。
この、二人のプロフェッショナルと、正しい順序でチームを組んで戦うこと。
それこそが、あなたの権利を守るための、唯一の、そして最強の戦略です。
なぜ、まず「弁護士」に相談すべきなのか?
経営者の調査において、最初に相談すべきは弁護士です。その理由は以下の通りです。
- 調査の「司令塔」になる: 弁護士は、どのような証拠があれば裁判で有利になるかを知っています。ゴールから逆算し、「ラブホテルに出入りする写真」や「〇〇という会社の書類」といった、必要十分な証拠を探偵に的確に指示してくれます。これにより、無駄な調査費用を抑えることができます。
- 「弁護士会照会」という調査手段を持つ: 弁護士だけが使える「弁護士会照会」という制度を使えば、銀行や証券会社に夫や会社の金融資産の開示を求めることができます。ただし、これは万能ではなく、照会先によっては回答を拒否されることもあるため、過度な期待は禁物です。
まとめ:その「壁」は、正しい知識で乗り越えられる
「会社のお金だから、関係ない」
その言葉は、あなたを無力感で支配し、諦めさせるための、夫の「呪文」かもしれません。
ですが、あなたはもう、その呪文に怯える必要はありません。
あなたは、
- 財産分与の主な対象は「会社の株式」であるという「知識」
- 会社の資産も、公私混同を立証すれば対象になり得るという「視点」
- そして、まず弁護士に相談し、探偵とチームを組むという「戦略」
これら、全ての武器を、その手に持っているのですから。
どうか、その分厚い壁を前に、一人で泣き寝入りしないでください。
あなたの正当な権利と、未来の生活を守るための戦いは、正しい知識と共に、今、始まるのです。
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