OpenAI APIの料金は、モデル名の横にある1つの数字だけでは決まりません。基本は入力・キャッシュ・出力のトークン料金ですが、処理方法、長いコンテキスト、Web searchなどのツール料金も総額に加わります。
先に結論
月額を見積もるときは「入力トークン+キャッシュ読み取り+キャッシュ書き込み+出力トークン+ツール・保存料金」に分けます。ChatGPTの月額プランとは別の従量課金です。
この記事では、2026年8月13日時点のOpenAI公式料金表を基に、料金表の読み方、費用計算、Batch・Flex・Fast、予算超過を防ぐ設定を整理します。OpenAI APIを実行した検証記事ではなく、公式情報だけを用いた計算ガイドです。
OpenAI API料金の基本式
テキスト生成の概算は、次の式で求められます。料金表の単価は原則として100万トークン当たりの米ドル価格です。
概算費用 = 非キャッシュ入力 ÷ 1,000,000 × 入力単価
+ キャッシュ読み取り ÷ 1,000,000 × キャッシュ入力単価
+ キャッシュ書き込み ÷ 1,000,000 × 書き込み単価
+ 出力 ÷ 1,000,000 × 出力単価
+ ツール呼び出し・保存・コンテナなどの料金
1回のリクエスト単価だけでなく、1日または1か月のリクエスト数を掛けて見積もります。再試行や長い会話で同じ履歴を送り続ける場合も、入力トークンが増える点に注意してください。
料金表の4つの列を読む
| 項目 | 意味 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| Input | 指示、会話履歴、文書、ツール定義などモデルへ渡す内容 | 履歴や資料が長いほど増える |
| Cached input | 以前と一致し、キャッシュから読まれた入力 | 通常の入力より安い |
| Cache writes | 将来の再利用のためキャッシュへ書いた入力 | GPT-5.6系では通常入力の1.25倍 |
| Output | 回答本文に加え、モデルによっては推論に使われるトークン | 入力より高いモデルが多い |
合計トークン数だけを入力単価で掛けると誤差が大きくなります。入力と出力を分け、キャッシュの読み取りと書き込みも分けて集計するのが基本です。
GPT-5.6の標準料金を例に読む
現在のGPT-5.6ファミリーについて、Standard・短文脈の単価は次のとおりです。すべて100万トークン当たりです。
| モデル | 入力 | キャッシュ入力 | キャッシュ書込 | 出力 |
|---|---|---|---|---|
| GPT-5.6 Sol | $5.00 | $0.50 | $6.25 | $30.00 |
| GPT-5.6 Terra | $2.00 | $0.20 | $2.50 | $12.00 |
| GPT-5.6 Luna | $0.20 | $0.02 | $0.25 | $1.20 |
同じトークン量でも、モデルにより費用は大きく変わります。ただし、安いモデルで再試行が増えれば総額が下がらない場合があります。先に小さな評価データを用意し、品質、再試行率、処理時間、総費用で比較してください。3モデルの役割と現行仕様は、GPT-5.6 Sol・Terra・Luna比較で詳しく整理しています。
計算例1:100件の文書をTerraで処理する
1件当たり入力2万トークン、出力2,000トークンを100件処理し、キャッシュと追加ツールを使わない例です。
- 入力:20,000 × 100 = 2,000,000トークン
- 出力:2,000 × 100 = 200,000トークン
- 入力費用:2.0 × $2.00 = $4.00
- 出力費用:0.2 × $12.00 = $2.40
- 合計:$6.40
これは生成トークンだけの概算です。Web search、File search、コンテナ、保存容量などを使えば、その料金を追加します。日本円へ換算する場合は、請求時の為替やカード会社の条件が変わるため、固定の円換算額として扱わないでください。
計算例2:キャッシュは初回と再利用を分ける
Terraで5万入力・5,000出力のリクエストを考えます。入力のうち4万トークンが再利用可能な共通部分、残り1万トークンが毎回変わる部分とします。
キャッシュを使わない場合
0.05 × $2.00 + 0.005 × $12.00 = $0.16
4万トークンをキャッシュから読めた場合
0.01 × $2.00 + 0.04 × $0.20 + 0.005 × $12.00 = $0.088
4万トークンを初めてキャッシュへ書く場合
0.01 × $2.00 + 0.04 × $2.50 + 0.005 × $12.00 = $0.18
GPT-5.6系では、書き込みが通常入力の1.25倍なので、初回だけを見ると高くなることがあります。何度も再利用して初めて節約になります。公式ガイドでは、GPT-5.6系のキャッシュ対象は1,024トークン以上の完全一致する接頭辞で、読み取りはcached_tokens、書き込みはcache_write_tokensで確認できます。
長文脈は別単価になる
GPT-5.6 Sol・Terra・Lunaでは、27万2,000トークンを超える長文脈のプロンプトに長文脈単価が適用されます。StandardのTerraは、短文脈の入力$2.00・出力$12.00に対し、長文脈では入力$4.00・出力$18.00です。
たとえば30万入力・1万出力なら、0.3 × $4.00 + 0.01 × $18.00 = $1.38です。大量の資料を毎回丸ごと送る前に、必要箇所の抽出、会話履歴の圧縮、File searchなど別方式との費用と品質を比較します。
Standard・Batch・Flex・Fastの違い
| 処理方法 | 料金の目安 | 向いている処理 |
|---|---|---|
| Standard | 基準 | 通常のオンライン処理 |
| Batch | Standardの50%低い料金 | 即時回答が不要な大量処理。完了枠は24時間 |
| Flex | 対応モデルではBatchと同水準 | 遅延を許容し、Responses APIで個別に処理したい場合 |
| Fast | GPT-5.6はStandardの2倍 | 速度を優先し、追加費用を許容できる処理 |
料金だけでBatchを選ばず、24時間以内という完了条件、対象モデル、キュー上限、結果取得の設計を確認します。Fastは2026年7月30日にPriority Processingを置き換え、service_tier: "fast"または互換用の"priority"で指定できます。
トークン料金以外に加わる費用
Responses APIやChat Completions APIという入口自体に別の基本料金はありません。選択したモデルのトークンと、使用したツール・保存機能に課金されます。
- Web search:通常のWeb検索は1,000回当たり$10.00に加え、検索内容のトークンがモデル単価で課金
- File search:Responses APIのツール呼び出しは1,000回当たり$2.50、保存は無料枠を超えると1GB・1日当たり$0.10
- Hosted Shell/Code Interpreter:コンテナ容量と利用時間に応じた料金
- 画像・音声・動画:テキストとは異なる単位・単価を使用
- データレジデンシー:対象となる地域処理では10%上乗せされる場合がある
たとえばWeb searchを1,000回使う場合、ツール呼び出しだけで$10.00です。これに検索結果からモデルへ渡されるトークンと、回答の出力トークンが加わります。
ChatGPT Plusの月額料金とは別
ChatGPTのFree、Plus、Pro、Businessなどは、ChatGPT製品を使うためのプランです。APIキー経由の利用はOpenAI Platformで別に請求され、ChatGPT Plusへ加入していてもAPI従量料金が含まれるわけではありません。
ChatGPT側の契約を比較したい場合は、ChatGPT料金プラン比較と無料版・Plusの選び方を参照してください。APIではなく成果物まで進めるChatGPT機能を探している場合は、ChatGPT Workの解説が対象です。
月額予算を見積もる5ステップ
- モデルと処理方法を決める:Standard、Batch、Flex、Fastを分ける。
- 1件の使用量を測る:入力、キャッシュ読み取り、キャッシュ書き込み、出力を分ける。
- 件数と再試行率を掛ける:成功分だけでなく、失敗・再生成も含める。
- ツールと保存費用を足す:検索、ファイル、コンテナ、画像・音声などを別計算する。
- 余裕を持って上限を設定する:新機能、トラフィック増、長文入力に備える。
開発前の推測だけで年間費用を固定せず、少量の実測から1件当たり費用を出し、日次・月次へ拡大する方法が安全です。
使い過ぎを防ぐ支出アラートとハード上限
OpenAI Platformでは、組織またはプロジェクト単位で支出アラートとハード支出上限を設定できます。
| 設定 | 上限到達時 | 用途 |
|---|---|---|
| 支出アラート | 通知するがAPIは継続 | 本番を止めずに異常を把握 |
| ハード支出上限 | 対象リクエストが429エラー | 月間予算を強制 |
ハード上限は反映が瞬時ではなく、記録額が設定額を少し超える場合があります。また、本番トラフィックを止める可能性があります。アラートを先に設定し、停止時の案内や代替処理を準備したうえで利用します。OpenAIが利用階層に応じて割り当てる月間利用上限は、自分で設定する支出上限とは別です。
よくある計算ミス
- 入力と出力を同じ単価で計算する
- 「1M」を1回の利用料金と誤解する
- キャッシュ書き込み費用を無視する
- 長文脈単価の適用を見落とす
- Web searchやFile searchのツール料金を足さない
- ChatGPTの月額契約にAPI料金が含まれると考える
- 為替を固定し、日本円の請求額を断定する
まとめ
OpenAI APIの費用は、モデル単価だけでなく、入力、キャッシュ読み取り、キャッシュ書き込み、出力、処理方法、ツール料金の合計です。まず1件の実測を各項目に分け、件数と再試行率を掛けて月額を見積もります。
即時性が不要ならBatchやFlex、同じ長い指示を繰り返すならPrompt Cachingを検討できます。ただし、初回のキャッシュ書き込みや長文脈、追加ツールまで含めた総額で判断し、支出アラートと上限を組み合わせて管理してください。
公式情報
- OpenAI API:Pricing
- OpenAI API:Prompt caching
- OpenAI API:Batch API
- OpenAI API:Spend limits
- OpenAI API:GPT-5.6 Terra
- OpenAI API:Changelog
確認日:2026年8月13日。料金、対応モデル、処理条件は変更される可能性があります。実装前には公式料金ページを再確認してください。
